下取り:
アルタス A1607 (CC、総銀、ソルダード、巻き管)
購入(2本):
ヤマハ YFL-584H (RH、頭部管銀)
アルタス A807E (CC、Eメカ付、リップ銀)
手元に残した:
ムラマツ スタンダード (CC、総銀)
セオリーに反し、総銀ソルダード(しかも巻き管)から頭部管銀およびリップ銀への ”スペック・ダウン” である。
そろそろ一年になるので、感想などをつらつら書いていこうかと思う。
また、買い替え時や定期調整時などに行った他の楽器の試奏の感想なども。
まずは、何で買い換えたのか。
- A1607のオーバーホール時期だった。
- A1607の音が枯れてきてすごくよくなってきた。
- A1607の音色が良過ぎて自分自身の技術の拙さときちんと向き合えなくなった。
- フルート人生で一度もH管リング(以下、RH)を吹いたことがなく、それを知らないままにしたくなかった。
- たまたま光が丘管弦楽団の次の本番で、H音のある曲があった。
- A1607は音色はいいが幅広い表現が当時の自分にはできなかった。特に音量の変化。
- 状態の良い楽器が欲しかった。
下取り予算内における買い替え機種の選定。
- RH仕様で予算的にちょうどよいムラマツEX(試奏したのはREH)は好きになれなかった。
- 他のメーカーではH足部管が付けられる機種が限定的でいまいちだった。例えばサンキョウエチュードにH足部管が付けられない。アルタスなら選択肢があったはずだが、その時点ではアルタスからの買い替えなので除外していた。
- ヤマハは頭部管銀でもH足部管が付けられる。予算的には管体銀の684も行けたが試奏の結果584がよかった。
- YFL-584Hだと下取り額を下回るので、サブ楽器を買うことに。各社最低価格周辺のモデルを試奏の結果、なんとアルタスが最高得点で予算オーバーしつつ購入決定。これは良すぎる楽器だ。(今年の3月から2万円ほど値上がりした)
買い換えてよかったかどうか。
よかった。
ヤマハはコストパフォーマンスが最高だと思う。EC頭部管は全音域出しやすく作ってある。音量差も付け易く、A1607に比して音楽を表現しやすい(音色は負ける)。しかし、吹き方を誤ると(吹き込みすぎると)ゴムを伸ばしたような、フルートじゃないような音が出る。また、このプロフェッショナルシリーズは少し調整が狂いやすいのかもしれない。これまでの実績としては、3ヵ月毎の調整が必要だった。アルタスA807EはA1607とはまったく異なる印象で、こちらは音が素直でコントロールもしやすく、音楽表現もしやすい。
銀を多く使っているかどうかの件。
リップ銀のA807Eは、歌口の響くポイントをはずしたときは音量が出せない。A1607でもYFL-584Hでも、多少外してもそれなりの音が出る。このあたりが銀製かどうかの違いなのかも知れないが、裏を返せば、「銀は鳴る」というのは実は間違いで、歌口が鳴っていない=息漏れ状態の時に楽器が別の振動をして大きな音が出ているだけで、「銀は雑音が大きい」が正解なのではないかというのがこの一年で感じたことだ。A807Eは、歌口が鳴るとムラマツスタンダードと遜色ないか、むしろ良い音色で音量も十分に感じる。総銀製の楽器は総じてノイジーで、たとえ歌口がよく鳴る状態にあっても響きが抑えられてしまう感じだ。ここを逆手にとって活用すれば表現の幅は広がるのかもしれないが、マニアックだし、本来のフルートの技術とは方向性が少し違ってくる気もする。その点、頭部管銀というのは中庸で両方のいいとこ取り的で、値段も安くて、言うことなしだ。フルートの技術、特に歌口を鳴らす技術を磨くためには銀の使用は少ないほうがよいが、外した時の保険として銀はある程度欲しい。そのニーズには頭部管銀はベストマッチと言えるだろう。一方、総銀のニーズは保険を過剰に掛けたい素人系ニーズと、マニアックに使いこなす玄人系ニーズに二分化されていくだろう。そしてアマチュア界では当然、前者が多いと思う。アマオケを聴きにいくと前述のノイジーな音がよく聞こえてくる。後者の代表例はアンドレアス・ブラウだろう。ムラマツの総銀ソルダードをマニアックに吹きこなし、図太い芯のある音にコロコロとした軽やかな響きを加えて、すばらしい。でも、あれはアマチュアには難しいし、私はそういうアマチュアフルート吹きを知らない。アマチュアフルート界の総銀礼賛主義、怖いと思う、というのが、総銀からスペックダウンして一年たった時点での感想だ。
本日はここまで。
次は、調整の狂い易さ、ソルダード、巻き管などの件。
試奏したフルートの件。試奏したフルートの状態の件。
ムラマツのこと。
など、書ければ、書きたい。
(2019/09/03 追記)
上記の記事は書けていないが、YFL-584Hのその後についての記事
・総銀製のFYL-61と頭部管銀のYFL-584Hとアルペジョーネソナタ
・アルペジョーネソナタ初合わせとFYL-584H
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