2019年8月24日土曜日

総銀製のFYL-61と頭部管銀のYFL-584Hとアルペジョーネソナタ

だいぶ前の2013年にこんな記事を書いたあと、実は、YFL-61という総銀製の中古楽器を手に入れていた。2015年暮れのことだ。そして総銀製についてうんぬんしていた記事の続きも全然かけていない。

まず、YFL-61という楽器について。これは、購入した中古屋さん(イシバシ楽器)によると、1970年代にヤマハでは初めて作られたハンドメイドフルートとのこと。仕様は、総銀、インラインリングキーでC足部管(以下RC)、もちろんEメカなし。何でこれを買ったかというと、中古屋さんのページを見ていて、やっすい総銀製RC仕様のしかもOH済みの楽器があるなー、総銀製も試してみないと、「総銀製についてうんぬんしていた記事」の続きが書けないし、ということで店舗に足を運び、試奏したところ、一目ぼれしてしまったからである。頭部管に凹み修理跡があるのが気になる点ではあったが、そのキーの軽さと音色の美しさ、そして安さとRC仕様、二度と出会えないかもしれないと思い、買った。その後1年の保証期間をフル活用して、親指キーのガタ直しなどもしてもらい、なかなかのコンディションとなった。残念ながら、光が丘管弦楽団ではデビューし損なったが、ふじみ野のオペラ本番では活躍してくれたし、ピアノの友人との自主ジョイントコンサートも2回ほどこなして、まずまずの結果を出してくれている。

ただこのYFL-61という楽器、一つ大きな難点がある。それは、リングキーの穴がでかい事だ。自分で思うのはもちろんだが、オペラで一緒に吹いた人にも言われたし、楽器調整に持ち込んだミヤザワフルート アトリエ東京のリペアマンにも言われた。で、そのおかげと思うが、最低音域の右手3本指が開き切らず、塞ぎきれなくて音がカスる事象が頻発する。ここがなかなか克服できないが、それ以外はとても気に入っている。音色の美しさとそのコントロール性、キー操作のタッチの良さから、やはり、「総銀製」はいいんだな、と思わせる楽器だ。

だけど。2012年から使い続けているもう一つの楽器である YFL-584H(頭部管銀、インラインリング+H足部管=RH、Eメカなし)も別の良さがある。「総銀製についてうんぬんしていた記事」に書いているとおり、ポイントをしっかり当てないと鳴らないが、鳴ればしっかりとした音量で響かせることができる。すごく美しいという音はなかなか出せないが、安定した音色で音量のコントロールがしっかりできる。総銀のYFL-61が音色中心で音楽を構築していくタイプだとしたら、こちらのYFL-584Hは、ダイナミクスで音楽を構築していくタイプといえる。これは材質の問題よりも、H足部管であることと、白銅製の楽器が若干、管厚が厚いことも影響しているように思える。

ここで、やっと今日書きたかったテーマに辿り着く。

来年あたりに先述のピアノ友人コンサートで、シューベルトのアルペジョーネソナタをやろうという計画があり、最近さらい始めたわけだが、この2本の楽器、総銀ハンドメイドのYFL-61と頭部管銀セミハンドメイドのYFL-584Hとのどちらを用いるべきかというのが非常に悩ましい。最初のテーマのメロディーを吹くだけであれば、「圧倒的」に前者だ。音色で音楽を作っていきたいと思えばこれ一択だ。でも、このメロディーを含めて、シューベルトの音楽は本当にそれでいいんだろうか、という思いがある。美しい音楽は音楽それ自体が美しいのであり、音色の変化による過度な装飾は不要なのではないかと。それよりも、無垢な音色、安定した音色と音量を持つ後者の楽器のほうがふさわしいのではないか。そしてなにより、たった半音ではあるが、H足部管であればオクターブ上げずに済む箇所が数か所存在する。今のところ、後者を第一候補で考えている。


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