2007年3月17日土曜日

バトンテクニック (01) - 棒の持ち方、振り下ろし方

指揮棒のことを英語ではバトン(baton)と呼ぶ。

ちなみに、「タクト」という単語もよく使うのでちょっと調べたところ、英語でタクト(tact)と言った場合にはあまり音楽と関係のある意味はなさそうだった。ドイツ語では、単にタクト(Takt)と言った場合は「拍子」の意味で、指揮棒を意味する単語は ”Taktstock” だそうだ。「タクトをとる」は、「拍子をとる」の意で、「タクトを振る」は、「指揮棒(タクトストック)を振る」に対する日本人らしい省略形ということになるだろう。

そんなことはともかく、指揮棒を扱うテクニックを指すときには、「バトンテクニック」と呼ぶ。

これは、指揮者としての基礎中の基礎であり、決して疎かにはできない。上級者になれば指揮棒を使わないこともあるが、それは指揮棒を扱う基礎ができた上で、さらなる表現力を求める場合に使う高等テクニックにあたる。書道で言えば楷書と草書のような関係だろう。「指揮棒をうまく扱えないから、私は棒なしで行きます」ということは決してありえない。これは「私は楷書がうまくかけないから、草書で行きます」と言っているのと同じである。

まず最初に学ぶべきことは以下の2つだろう。
  • 正しい持ち方
  • 正しい振り下ろし方
<正しい持ち方>
指揮棒の根元を利き手の掌の中心にしっかり当て、それを「グー」でしっかり握る。
このとき、人差し指を伸ばして棒に添えたりはしない。人差し指もしっかり「グー」の状態にして、棒は第一関節と第二関節の間を通る。そこに親指をしっかり添える。
大切なポイントは、指揮棒をどんなに振り回しても、腕から指揮棒の先までがガッチリ一体化していることである。この持ち方が悪いと、腕と指揮棒の角度が不安定になり、腕を大きく振っても指揮棒の先自体があまり大きく動かない(=奏者から見易くない)、効率の悪い指揮となってしまう。力強く振ることができない。指揮棒を落としてしまわないことに気をとられて、テクニックを十分に使いこなせない。

<正しい振り下ろし方>
指揮棒を持っている手を、親指が上になるようにして体の中心の胸の高さに置く。肘は90度に曲げ、脇は自然に締まっている状態。肘から先の腕は、上から見ると体の向きに対して45度になっている。指揮棒は少し上向きになっている。

この状態から、腕全体を使って手を振り上げる。一番振り上げた状態で、手が頭の少し上、棒は真っ直ぐ天井を指していて、二の腕は水平、肘の角度は120度くらい。

そこから、手が体の中心に沿うように真っ直ぐ振り下ろす。棒の先端が大きく動き、最後に先端が下を向くように、スムーズに手首のスナップを使う。一番振り切った状態で、手の甲が上を向いていて、肘は伸びきらない程度に真っ直ぐになっている。

動作中、体は動かさない。特に、上体が前後に動いてしまいがちなので注意する。指揮棒を持っている腕だけを、肩の付け根からスムーズに大きく動かす。指揮棒の軌道は、必ず体の中心を通ること。利き手側に偏って体が開いてしまいがちになるので注意すること。体が開いてしまうと、棒の軌跡が大きく取れず効率の良い指揮ができない。また、体が前後に揺れやすく不安定である。

腕の動作がうまくできるようになったら、振り下ろしきる瞬間に、太鼓をたたくように手首のスナップを利かせてみるとよい。そうすると、振り切った位置より少し上(20~30cmくらいか)で止まる感じになる。この位置が、次に学習する2拍子の2拍目の起点になる。

「太鼓をたたくように手首のスナップを利かせる」というのは、わかりにくいかもしれないが、身近にいる打楽器奏者に教えてもらえば、すぐにわかるだろう。

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